第7章 時をかけあう恋~呼び名~家康side
俺の言葉に、何も返事をしない彼女を見ると、またまた、大きな瞳を大きく開いて、口もポカンと開いている。
「………あんた、間抜けな顔してるけど……ちゃんと聞いてる?」
「き、聞いてますっ!!それに間抜けな顔なんてしてませんっ!!///」
俺の呼び掛けに、ポカンとした顔から、ハッとした表情をして、慌てて両手で頬を押さえて、なぜそんなことを言うのかを聞いてきた。
「別に……敬語とか堅苦しいから、もう、いいんじゃないかと思っただけ。」
『さん付け』が嫌だと言えばいいのだが、なぜかすんなり言えない俺。それとない理由を言ったけど、彼女は悪い……と言って、少し困惑気味……
なかなか呼び捨てで言わずに、渋っている彼女に、少しばかりムッとして、その気持ちを追い出すようにため息をつき……
「っ……!?………いひゃーーいっ!!!」
彼女の柔らかい頬を柔く掴んで、頬を引っ張った。
すぐに手を離すと、彼女は驚きの表情を浮かべ、痛みで少しだけ涙目になり、頬を優しく擦っている。
「……あんたのことだから、俺に気を遣ってるんだろうけど……最初にあんたが言ったんでしょ。『俺がこっちにいる間、俺と打ち解けたい』って。」
こっちに来て、俺の要るものを買いに行ったときに言った言葉………
あの言葉が、どれだけ俺に突き刺さったか………