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【ヒロアカ】コスミックロジカル【裏】

第48章 【番外編】なんとかオリジナル


私が珍しく大声をあげたせいか、先生は一瞬驚いていた。
「こ、これが、わ、渡せなくて…!」
勢いのまま突き出し、慣性の法則に従ってぶらぶらと揺れるそれ。
先生はやっと手にとって、中の物を確かめる。
「菓子……?」
「あ、えっと、バレンタインデー…」
「…………」
「…………」
先生は首を傾げてしばらく考えたあと、小さく低く、あ、とだけ呟いた。
「先生、こういうの食べなさそうだし、迷惑かな、って……」
私は顔を俯かせて、目線を合わせないようにぼそぼそとこぼす。
先生は珍しく口角を上げ、蕩けそうなほど優しい声で、
「いや、なんだ、そんなことか」
とまた呟いた。
「そ、そんなことって…」
ひどい、と続けようとしたけれど、あっさりと目の前を真っ暗にされ、ふんわりとシャープな香りに包まれる。
抱き締められてるんだ、と認識するのに結構時間がかかった。
先生の長い髪が私の頬に触れて、やっとそう感じた。

「貰っておく」
それだけのことなのに、随分遠回りしてしまった気がした。
やっぱり当日渡せばよかった、と凄く後悔する。
先生の優しい声が、いつもより近くで聞けて、一回止まったはずの心臓がドキドキする。
聞こえてしまいそうなほどに。
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