第13章 のんでのまれ
「はぁ…」
「水瀬さん? 元気ないですね?」
「……お酒って酔うと怖いね」
朝、起きたら家のお布団で紅郎くんとくっついて寝ていた。身支度をするために起き上がって、段々意識がはっきりすると昨日家に帰ってからのことを思い出した。
「え、水瀬さん。たしか弱かったですよね? 結婚前の家飲みでもすぐ寝ちゃってましたよね?」
「なんか…烏龍茶とウーロンハイ間違えて出されてたっぽくて…気づいたら…」
「気づいたら?」
あられもない欲が出た。酒に酔って、楽しそうに友達と話す紅郎くんの声が聞こえて、一緒にいたくて乱入していた。場を乱すだけ乱してそのまま紅郎くんが家まで連れて帰ってくれたら紅郎くんを独り占めしたくて、縛りたくて、破廉恥なことをたくさん言って、我儘に付き合わせてしまっいた。
「隣の個室にいた旦那さんのところに乱入して、旦那さんにお持ち帰りさせちゃった」
「えぇ…それはまたグッドタイミングでしたね?」
「よくない…よくないよ…奥さん失格だよ…」
仕事に行く時も紅郎くんの反応を見るのが怖くて仕事に行く支度したら、紅郎くんを起こさないですぐに家を出たのに…
携帯には美咲ちゃんや桜乃ちゃんから心配する連絡が来てたし…
もう今日家に帰るのがすごく怖い。今度こそ見限られちゃったらどうしよう…
「でも、旦那さん、いつもお話聞いてる限りすごく愛してくれてるじゃないですか! 大丈夫ですって!」
「私がよくないよ…もう…」
私は知らない。
仕事が終わる頃に紅郎くんがお店に迎えに来ることを…