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つないだ手を少しだけ【Let's天才てれびくん】

第1章 出会い


 学生の頃は学校の帰り、今は仕事の帰り、神月風音はいつもその神社に参拝していた。
 神社の本殿に向かって手を合わせ、そっと祈る。
 祈りを終えて、瞳を開いて振り返ったら、境内を歩いてきた壇蜜が、美しいかんばせをほころばせていた。
「今日もいらしていたんですね。熱心にありがとうございます」
 優しく声をかけられて、風音は慌てて首を横に振った。
「いえ、壇蜜さんこそ、こちらにいらっしゃるなんて珍しいですね。お仕事がお忙しくて、めったにお会いできないのに」
「てれび戦士という方達が、先祖について尋ねたいことがあるとおっしゃって……」
「まあ、それでいらしていたんですね」
 この神社の巫女というより、本尊そのものが壇蜜と言って良いだろう。この神社は、遠い昔、こまちまちこという、どちゃもんを愛した男、五郎を祀る神社なのだ。
 『生まれ変わって、こまちまちこに会いに来る』と約束した五郎の誓いを、子孫は忘れず、祈りの場として残した。そして、それを守っているのが現当主の壇蜜だ。
 五郎の誓いにより、この神社に参ると『生まれ変わっても会いたい人』に会えると言い伝えられている。
 その言い伝えを聞いた時から、風音はこの神社に熱心に参るようになった。
 会いたい人がいる。生まれ変わっても会いたい人がいる。それが誰だか分からない。なんとなくその人は、どこかおっちょこちょいで、生まれてくる待ち合わせの時代を間違えて来るような、そんな人のような気がする。だから、今日も祈る。きちんと会いたい人に会えますようにと。
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