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ロリコン王子(絶倫)をドMに覚醒させようとする悪役令嬢の話

第7章 銀灰色の暗殺者とその過去7


「カモフラージュよ…貴女の髪と美しい顔は目立つから。あぁ…なんだったらそのメイド服も差し上げるわ。貴女の見た目ならば他の屋敷に雇って貰えるとも思うし…まぁ本音を言うのなら、この屋敷にいて欲しいところだけれど」
「…恩着せがましい。私が逃げられないように、ですか?」
「あら、なんのことかしらね?」

アメリアは微笑んでその長い髪を耳にかきあげて、口元に手を添えクリスティーナを見下ろす。優しげなその視線は母の愛情を沢山貰った小さな少女にそそがれていた。

「私、貴女にいて欲しいわ!」
「…」
「誰でなく貴女が良いの!貴女じゃないと嫌なの!」
「…なぜ、そこまで私にこだわるの?」
「貴女の姿に一目惚れしたから!絶対に逃がしませんわよ!公爵家の使用人全員を使って必ず貴女を見付けだしてみせるわ!」

流石に表情を変えず静かに話しを聞いていたアイリーン公爵も、口をあんぐりと開けていた。アメリアは可笑しそうに笑う。至って真面目なクリスティーナは言葉を選ぼうとするも上手くはいかず下手くそに口説く、相変わらず無表情の少女は沢山の男、女に言い寄られた事があった。歯の浮くような台詞を何度も聞いた事もある…けれどそれでは少女はなびく事はなかった。煩わしいとさえ思えるくらい…どうでもいい。そんな彼女を今口説いているのは公爵令嬢のクリスティーナだ。なにより、使用人を全て使ってまで探し出すだなんて正気の沙汰じゃないし…脅しではないかと少女は可笑しくて笑った。

「ふ、ふふっ!あははっ!」
「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃない!私は本当に貴女が…」
「えぇ、えぇ…分かっていますよ。ですから…私をお嬢様の専属メイドにして下さいますか?」

この無垢な小さき少女を守らなければ、憎らしいと思うのに…なぜかそう思った。

「ありがとう…嬉しいわ。それで、貴女の名前はどうしようかしら」
「アンナ!貴女の名前は今日からアンナよ!どうかしら?」
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