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ロリコン王子(絶倫)をドMに覚醒させようとする悪役令嬢の話

第7章 銀灰色の暗殺者とその過去7


「アンナ、落ち着きなさい」
「旦那様!申し訳ございません!全ては私の責任です…こんな私をアイリーン公爵家は拾って下さったというのに、未だ恩をお返しする事も出来ず!あぁ…やはり、私はここにいてはっ!」
「アンナ。これ以上自分を否定したら私は許しませんよ?」
「奥様…ですがっ」
「クリスティーナの事を想うなら…貴女はいなくなっては困るの。勿論私もね?」

ダークブラウンの髪色をした厳しそうな印象を持たれやすいクリスティーナの父と、おっとり系で優しげな印象を持たれる銀髪の髪色をした母は大丈夫だとアンナを落ち着かせる。しかしアンナは2人に頭を下げてメイド服をひるがえし、ドアを開けて出て行ってしまう。どこにいるのかは予想出来ていた。アンナはメイド服からナイフや拳銃を手にした。そろそろ日が沈み、薄暗い街を空高く飛び移り駆け抜けるアンナは、いつも身に付けていたメイドキャップを解き、銀灰色の長い髪を風になびかせる。その姿はまさに“銀灰色の暗殺者”そのものだった。

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小さな名も無き少女はスラム街出身だった。身寄りもなく住む場所もない。生きていく事で必死だった、その美しい少女は売女をして身体で稼ぐか、暗殺者としてマフィアに命を捧げるか選択肢を迫られる。けれど誰か分からない男に肌を晒したくなかった少女はマフィアの犬として身を落としたのだ。彼女には才能があった、小綺麗な姿で現れたらどこか有名なご令嬢だと間違われる。世にいうハニートラップで誘惑し殺すと言う手口が多かった。しかし少女はきわどいドレスを着て肌を晒す事が嫌いだった、任務だから仕方ないと頭を切り替えて操られる人形のように何人も、何十人も、人を殺し続ける。

少し時が経ち、小さな少女は15歳くらいの美しい少女へと成長を遂げた。人を殺すと大金が手に入る、女だからと馬鹿にしていやらしい目で見て来る男も侍らせ放題、住む家も、地位も、名誉も、手に入った。そして残るのは…虚しさだけだった。
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