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【刀剣乱舞】*夜伽のお時間*【R18】

第17章 ◆番外編4「贈り物」




◆◆◆◆



『あとで引き出しの中を見てください』


主は消えた長谷部がいた部屋に一人でやってきた。

最後に彼に言われた言葉のとおり、彼がいた部屋の机の引き出しをこっそりと開けてみる。

「……これ…」

そこには、桜の花びらが和紙に閉じ込められた、綺麗な“しおり”が入っていた。

彼女はそれを取り出して、日の光に透かしてみる。

まるで日向に散る桜のように、それは透き通る桃色をしていた。

「…綺麗…」



──部屋にしおりを持ち帰ると、近侍の長谷部がそれを見て「綺麗ですね」と言った。

彼女はぽかんと彼を見る。

(錬結されても、分離していたときの記憶は共有されてないんだ…)

「主? どうかしましたか?」

「…いえ…」

「そのしおりはどうしたのですか? 初めて見ましたが」

主は目を閉じ、しおりを大事に胸の中に閉じ込め、こう答えた。


「…大切な人からの“贈り物”です」


今度は長谷部がぽかんとし、そしてすぐに目を細めると、立ち上がって彼女を問い詰める。

「主! 大切な人とは誰のことです!?」

「ふふ、内緒です」

「なっ…白状して下さい主! 俺より大切な人がいるんですか!?」

「さあ、どうでしょう」

「あるじ! あるじぃ───!!!」



逃げ回る主と、追いかけ回す長谷部。

彼女の胸の中には、もう一人の長谷部からもらった不思議な思い出と、小さな“贈り物”。




◆番外編4 完◆

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