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【短編集】ブーゲンビリア【R18】

第2章 罠


「ごめんなさい。奏さんにまで手伝わせてしまって……」
「いいえ、構いません。皆さんが休息を取れるのが最優先です。私が手伝う事でそれが出来るなら、お安い御用です」

手を止める事なく、謝ってきた隣の席にいる女性社員に微笑む。
元々社長である奏の父に報告を入れたのが彼女である。

「よし、これで終わりました。皆さんお疲れ様でした。お先に失礼いたします」

プログラムを完成し終えた奏は、学校の鞄を手に持ち立ち上がる。
そのままオフィスを出ると立っていた執事に鞄を渡す。
目を合わせられないので、何も言わずにエレベーターに乗る。
扉が閉まる前に執事も体を滑り込ませた。
30階のオフィスから1階に降りるまで若干時間がかかる。
この時間が何よりの苦痛だった。
沈黙。
目も合わせづらい、話しかけづらい。
しかも二人っきり。

「お嬢様」
「えっ……あああ……えっと……な、なに??」

自分でも恥ずかしくなるほど変な声が出た。
上擦った声に耐えきれず執事が笑い出す。

「ちょ、笑わないでください!」
「すいません。いや、余りにも緊張されているようなので……つい……」

肩を震わせながら謝る執事に奏はそっぽを向いた。
途端に顔を包むように両手を添えられ、執事の方へ顔を向けられる。
すぐ目の前にある整った顔。
あの日、ベッドに押し倒し、奏を凌辱した張本人。

「奏」

愛おしそうに名前を呼ばれ、顔が真っ赤になるのが分かった。
ただ名前を呼ばれただけなのに体が疼く。
気付けば、唇が重なった。

「ふ……あ……あんっ……あ」

声を出した瞬間に空いた隙間から舌がねじ込まれた。
力が抜けていくと、足の間に執事の足が入る。
R18の物を作っていると情事の部分は嫌でも目に入った。
しかも、今回は魔法少女となった主人公が触手に犯されるというシーンを作ったのだ。
嫌でも興奮した。
触りたくなるほど。
だから手は休めずに集中した。
股に足を入れられた事で執事にそれが気付かれたようだ。

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