第1章 再会の意味
紫乃がいないのだ。
いつもなら心配そうに泣きついて、無茶をするなと怒鳴ってくるはずなのに、その姿がない。
「っ・・・筆頭、すいやせんっ・・・」
孫兵衛の答えに、政宗は凍りついた。
最悪の事態が頭をよぎったのだ。
「・・・っ・・・」
「紫乃も連れ帰ろうとしたんすけどっ・・・殿をやるって聞かなくてっ・・・」
「何人か殿に兵も残りました!・・・紫乃とそいつらが、まだ戻りませんっ・・・」
文七郎と孫兵衛が泣き出すと、堪えていた他の兵も次次としゃくりだした。
「俺たち、筆頭を連れ帰るだけで精一杯でっ・・・紫乃を・・・紫乃を置いてきちまいましたっ・・・」
そんな風に自分たちを責める部下たちを、政宗は責めるつもりなどなかった。
責めるのは、自分だった。
──政宗は崩れ落ちそうな体を起こしきると、そこからさらに立ち上がろうと力を入れた。
良直と佐間助がそれを支えながら止める。
「ま、まだ動いちゃいけませんって、筆頭!」
「傷に障っちまいます!」
そんな忠告は聞き入れなかった。
「・・・馬を持ってこい。摺上原に戻る」
「筆頭っ! 何言ってるんすか!」
「・・・アイツを連れ戻す」
「そんなっ・・・」