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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第21章 もう一度ここから




男が零の腕を引き、玄関の中へと引き摺りこんだ。


『きゃあ…っ!?』

「……零……っ!!止めろ!!手え出すな!!頼むから……零だけは見逃して……!了さんからいくら貰ってる!?倍払う!一億でも、十億でも!一生かかってもオレが払う…!!っ、わかった、このまま自分の足でベランダから飛ぶ!それで終わりにして!頼むよ……!お願い、お願いします、お願いします……!!」

『………』


捲し立てるようにそう必死に叫ぶ百。

百を取り押さえているのは、大柄で柄の悪い男二人だ。部屋には他に、同じような図体の男が二人いる。

零は小さく息を吸って、吐いた。そして、口を開いた。



『…私が何でもします。だから、百には何もしないでください。今此処で、なんだってしてみせます。あなたたちにとっても、了さんにとっても、その方が価値はあると思いますけど』


零の言葉に、百は大きく目を見開く。


「……零…おまえ、何言っ――」

「マジかよ?天下のCM女王が何でもするってよ!こりゃ一世一代の大スクープだぜ!?ははは!」


唖然とする百の横で、男たちの薄汚い笑い声が木霊する。



「おまえ、自分で言ってる事わかってるのか?天下のアイドル折原零ちゃんよお」

『ちゃんと理解した上で、言ってるんです。了さんにもそう交渉してください』

「……ははは、それなら本気かどうか試させろ。…そうだな、試しに今ここで、服脱いでみろよ!」

『……わかりました』


静かにそう答えた知夏が、羽織っていた上着を脱ぎ始める。



「…零、おい、何やってんだよ……ふざけんなよ…っ、おまえ――」

「おまえは黙って見てろ!!」


百を取り押さえていた二人が、再び百に手錠をかけると、その口を思いきり塞いだ。


「んん……っ!!」

「ほら、早く脱いでみせろよ」

『………』



上着を脱いで、着ていたトレーナーに手をかける。ばっと脱ぎ捨てれば、下着が露わになった。こちらを見ている百は、必死に止めようと暴れていて、大きく見開かれ真っ赤になった瞳から、ぼろぼろと大粒の涙を流していた。


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