• テキストサイズ

スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第21章 もう一度ここから




「…っ、おい、この女、エントランスの鍵を開けて自動ドアをくぐったみたいだぞ」

「ほら、言ったじゃんか……!どうしよ、やばい、一瞬で酔いが醒めた。エレベーター壊れろ壊れろ壊れろ」

「おい、了さんに連絡しろ……、まだつながらねえのか!?」

「……っ、手錠を外せ!玄関先で追い返す。絶対約束する。その代わり、零には手を手を出すな。オレはどうなったっていい」

「信じられるか!こうなったら、あの女も一緒に……」

「バカか!!オレらが一緒にベランダからダイブすればさすがに大事件になる!後ろに手が回るのはあんたらだぞ!了さんにとっては、あんたらはトカゲの尻尾でしかないんだからな!!」

「………」



―――もし、了さんがこの事を知ったら。

オレの目の前で、零を地上にぶん投げろなんて言いかねない。

了さんに連絡をつける前に、なんとか零を追い返さないと、こいつらがどんな無茶をするか――。


零のことだけは―――死んだってなんだって、絶対に、絶対に守る。





瞬間。



ガチャ、と扉の鍵を回す音がした。



「…っおい、来たぞ!」

「手錠を外せ!!引っ叩いてでも零を追い返す!!……っ、さっさとしろ……!!」


百の叫びに、男達は顔を見合わせると、パリンと音を立てて酒の瓶を割った。


「…わかった。妙なことをしたら、この割れたボトルで零の顔を潰すからな!」

「………」


そんな事を言ってのけた男達を、百は思い切り睨みつける。けれど、今はそれどころではなかった。

外された手錠を確認した瞬間、玄関に向かって思い切り走った。


/ 552ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp