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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第11章  もう二度と戻らない


 私が医務室で寝込んでいる数日の間に、壁外調査の後に発生する業務の数々が終わってしまっていたのだった。
 そのうちの一つに、亡くなった兵士の遺族への報告があった。
 当然、ライデンのおばさんのもとにも連絡が行ったそうで、ライデンの所属していた班の班長が報告に出向いていた。

 私がその事を知ったのは、壁外調査から帰ってきた日のちょうど一週間後、退院した日のことだった。


「ラウラ・ローザモンドはいるか?」

 食堂で昼食を摂っていると、顎ヒゲを生やした男性兵士が入り口付近に立って、私の名前を呼んだ。

「はい、私です」

 私は急いで口の中の食べ物を飲み込むと、男性兵士のもとへと走っていった。

「伝えたいことがある。少し来てくれるか」

 そう言って食堂から出て行く彼の後ろに、私は(何を言われるんだろう…?)と内心ビクビクしながらついて行った。


 食堂を出てから廊下を少し歩いていくと、あまり人気のない場所で男性兵士は足を止めた。
 この辺りは倉庫になっている部屋が多いから、普段は掃除当番の新兵くらいしか来ないエリアだ。

 くるりと振り向いた男性兵士は、眉を寄せて沈痛な面持ちをしていた。

「こんなところまで来てもらって悪かったな」

「いえ、それで、お話というのは…」

 壁外調査から帰ってきて、一番忙しい時に寝込んでしまったことを気にしていた私は、そのことについて怒られるのではないかと、心臓がバクバクしていた。
 だが、彼の口から出てきた言葉は、全く別のものだった。

「お前は、ライデン・ツィンメルマンと親しかったそうだな」

「はい、幼馴染でした」

 一体何故、いきなりライデンの話なのだろう?…あれ?でもこの人って確か…

「俺はライデンの所属していた索敵支援班の班長を務めていた、コールマンだ。彼を失ってしまったのは、私に責任がある。本当に済まない…」

 そう言って深々と頭を下げてきたので、私は一瞬ポカンとしてから、勢いよく首を横に振った。

「そんな、もったいないお言葉です」

「ライデンの母親に報告に行ったのも俺だ。…それが数日前のことになる」

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