第5章 幼馴染
「お前、今も絵を描いてるのか?」
ライデンの声で、はっと過去の思い出から意識を引き戻された。
だめだ、懐かしい顔に会うと、楽しかった頃の事をつい思い出してしまう。
「描いてるよ。私は、巨人の絵を描くために調査兵団に入ったんだから」
「え…?どういう事だよ…?」
私の返答に、ライデンは眉を寄せてコトリと首を傾げた。
私が、兄の遺言を言って聞かせると、ライデンは得心がいったように、神妙な顔をして小さく頷いた。
「変わらないな、ラウラは。だけど、生きてなくちゃ、何も描けないんだからな。
壁外調査は、生きて帰ってきて初めて一人前だ。絶対に死ぬなよ?」
「うん。ライデンもね」
「こら!俺を誰だと思ってる。もう何度も壁外調査から生きて帰ってきている、歴戦の猛者だぞ」
神妙だった顔を少し崩して、ライデンが笑う。
「はっ!失礼しましたっ!」
私も少しおどけて敬礼をしてみせた。
それを見て笑う彼の笑顔は、今も昔のまま太陽みたいに明るかった。