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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第12章  変わり者


 リヴァイ兵長との真夜中の会話の次の日から、私は業務の合間をぬって巨人の絵を描き始めた。
 ハンジ分隊長やリヴァイ兵長に見せるためなので、普段のスケッチブックではなく、特別な時にだけ使おうと決めていた真新しいキャンバスをベッドの下から取り出してきて、一心不乱になって描き進めていった。

 画材道具というのは意外と高価なものなので、私の懐事情では、あまり普段からバンバンと絵の具を使うことはできない。だからいつもは鉛筆だけのデッサンとか、使っても水彩絵の具くらいになってしまう。

 だけど、今回はいつもとは違う。最高に気合を入れて描かなければいけない!
「絵を見せて欲しい」なんてこの上なくありがたい事を、二人の人から依頼されているんだ。
 それに、ハンジ分隊長やリヴァイ兵長だけじゃなくて、ナナバさんやゲルガーさん、ペトラやオルオとも約束したのだから。

 気が付けば調査兵団に入団してから数ヶ月の時が経っていた。
 一人ぼっちになってしまったと思っていたけれど、ここには私のことを気にかけてくれる仲間がたくさんいる。






 私は、初めて訪れる部屋の前に立って、緊張でドキドキと高鳴る胸を押さえながら扉をノックした。

 コンコンコン、と控えめにノックをした後、割とすぐに扉が開いて、中から落ち着いたキャメル色の髪をした男性が顔を出した。落ち着いているのは髪色だけではなく、その表情もとても穏やかそうに見える。

「あっ、君は…」

 私の顔を見てピンと来たらしい男性兵士は、部屋の中に向かって声を上げた。

「ハンジ分隊長!ラウラが来ましたよ!」

 男性兵士が言い終わるやいなや、部屋の奥からドドドドという聞き覚えのある大きな足音が聞こえてきた。

「ようこそー!!待っていたよぉー!!さぁ、早く部屋に入って!!」

 メガネの奥の大きな瞳を、おもちゃを見つけた子どものようにキラキラと輝かせて、ハンジ分隊長が顔を出した。
 そしてそのまま、私の腕をつかんでグイグイと部屋の中に引っ張り込んでいく。

 私はその勢いに気圧されながらも、その一方で、こんなに楽しみに待っていてくれたことを嬉しくも思った。

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