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泡沫人魚【狩人】

第7章 ニンギョ×ト×トウゾク


「先に行ってて、すぐ行くわ」

『はーい』



その小さな後姿を目の端に捉えながら電話に出る。



「どうしたの?」

"パク!チェリーは?"

「…?一緒よ。今コルトピとテラスで休憩させてるけど」





※※※





『パク遅いねー』

「うん、そう………」



ふっと二人に落ちる影と、ただならぬオーラの気配でコルトピの言葉は飲み込まれる。



「人魚…捕獲ぅ!」

「チェリー危ない!」



-ドォン…-



破壊されるテラス。パニックに陥る館内。床になってた分厚い硝子も粉砕され水中に落ちて行く破片が魚達を傷付ける。



「………居ない?」

『おじさん、ひどい』

「!」



細い手摺の上に器用に立つチェリーは大きな男を睨み付けて握り締める手を小さく震わせる。



「10億の賞金がかかってるんだ。大人しく捕まってもらうぞ」

『いーっだ!』



べーっと舌を出すと高さのあるテラスから思いっきり飛び降りてその後を男は追う。



「チェリー!」

「コルトピ!」

「パクノダ!ごめん…チェリーが…」

「追い掛けましょう。今フィンクスとフェイタンがこっちに向かってるわ」



二人もテラスの手摺を飛び越えて下に落下する。



「どうなってるの?襲って来た男、チェリーの事を人魚って言ってた」

「分からないわ。どうやら人魚捕獲サイトにチェリーの写真があったみたいで莫大な懸賞金がかけられてるみたいなの」

「チェリーが人魚って事?」

「どうかしらね…今シャルナークがそのサイト自体を調べてるみたいだから任せましょ」





※※※





ボコボコの地面は戦闘の激しさを物語る。数名に囲まれた幼女は深く息を吐いて構え直す。



「くそ…コイツ本当に餓鬼かよ」

「報酬は分けで考えた方がいい。一人一人で向かっても捕獲は出来ない」



既に地に伏す連中は息はしてるものの気を失っていて動く事は出来ない。戦う幼女は擦り傷等はあるものの大したダメージは無く残ってる数名の敵を見据える。



-じりっ…-

-バッ-



一斉に飛びかかってくる連中を身軽に避ける。



『…?(一人居ない?)』



-ジャラ-



『!?』



空中に避けて体制を崩したところに太い鎖が身体に巻きつく。

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