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お気に入り 【黒執事】

第10章 死神さん


「ただいま帰りました。」


あのあと、葬儀屋を出て、お屋敷に戻った。


「おかえりなさいませ。」

「…?ど、どうしてセバスチャンが…?」


玄関でセバスチャンが待っていた。


「坊ちゃんからのご命令で、本日よりナツキ様をメイドではなく、坊ちゃんのご家族として接するよう、言われましたので。」

「!…」


私は、シエルのいる書斎へ走った。


「シエル!」


バタン!と音がしてドアが思いっきり開いた。


「!……なんだ…ナツキ。騒がしいぞ。」


一瞬驚くも、すぐに表情が戻った。書類を眺めたまま険しい顔をしていたようで、機嫌が悪そう…。


「どういうこと?私はあなたのお姉さんだけど、メイドは仕事だから、普通の使用人と同じ扱いを」

「その話だが、やはり僕にそのようなことはできない。」

「…え?」

「僕にとって、お姉様はお姉様だ。だから、そのようなことは」

「いい加減にして!」

「!…」

「私は拾われただけで、シエルのような地位や名誉は持ってないから。ただの使用人で一般人で…」

「僕が気に入っている奴を、なぜそばに置かずに使用人として扱う必要がある?」


額にムカムカマークが浮かぶほどイライラしていた。


「…」(ああいえばこういう……口が達者なお坊ちゃんだ…!!)


ドアの前でセバスチャンが声を殺して笑っていた。


「…はぁ……シエルは私をどうしたいの?」

「縛りつけ、できれば部屋から出したくない。」

「…」


冷たい視線を向けてしまった。ホントに過保護だ。
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