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お気に入り 【黒執事】

第7章 タイムリミット


「…お前は、過去を知らなくていい。」

「どうして?」

「…知る必要がないからだ。」

「そうやって皆私をごまかす。知る必要がないんじゃなくて、知られたくないんでしょ?」

「…」


これ以上、モヤモヤしているのは嫌なんだ。どんなに嫌なことでも、知った方がいい。こんな気持ちが続くくらいなら…。


「っ…はぁ…許せ…ナツキ…。」

「…?」


私を抱きしめたシエル。身長は私の方が高いから、抱きつかれている、と言ったほうがあっているのかもしれないけど。


「…もう2度と……あんな苦しい思いはさせたくないんだ…。」

「!…」(苦しい…思い…?もう…2度と…?)


私の過去のことなのに、シエルがとても苦しそうだった。


「…」

「……ゴメン。シエルが何を思っているのかわからない。でも、私は自分の過去を知りたい。」


私はシエルを離した。


「!…」

「…」


私は部屋を出て、真っ暗な外へ歩き出した。もちろん、行く場所など1つ。


「…アンダーテイカー。」

「おや…?どうしたんだい、こんな夜中に。」

「…3日もいらない。知りたいこと2つ。」

「もうかい…?早いねぇ~。執事君にでも手伝ってもらったのかい?」

「…うん。」

「酷いじゃないか、ルール違反だよ。」

「ルールなんて聞いてない。」

「…それもそうだねぇ~。それより、随分と怒ってるみたいだけど、どうかしたのかい?」

「…ねえ、教えて。私は…誰なの?」
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