第7章 タイムリミット
私は生まれたときからずっと、ヘンリー家の子供だと思っていた。でも違った…?
「セバスチャン…私は…ヘンリー家の子供じゃなかったの…?」
「そのようですね。」
「っ…。」
「おい、何をしている?」
「!…」
「坊ちゃん。どうかなさいましたか?」
シエルが図書室に来ていたことに気づかなかった。セバスチャンが声をかけても、目を細めてこちらを見ているだけだった。
「お体が冷えますよ、お部屋にお戻りくださ」
「何をしていると聞いているんだ。」
「…」
セバスチャンが私の方をチラリと見た。
「な、なんでもございませんよ…?」
私は微笑んだ。でもシエルは私に近づいてきて、不満そうな表情を浮かべた。
「何を隠している?」
「え…と…。」
「……はぁ…もういい…セバスチャン…話がある、付いてこい。」
「かしこまりました。」
シエルが先に図書室を出て行ったあと、セバスチャンが私の耳元で囁いた。
「あなたも、坊ちゃんにバレないように…私と坊ちゃんとの会話をドア越しに聞いてみてはいかがですか?」
「!…」
セバスチャンはニヤリと笑みを浮かべると、シエルの背中を追いかけた。私も足音を立てないように、シエルとセバスチャンが入っていった部屋のドアに耳を傾けた。
「どういうことだ、セバスチャン。」
「何がでしょうか?」
「とぼけるな…!ナツキの記憶は思い出させなくていいと言っただろう。」
「!…」