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お気に入り 【黒執事】

第12章 新しい人生


「あ、ありがとうございます。」

「いえ。紅茶の方もおつぎいたしますね。」


綺麗で食べるのがとてももったいない。


「…」(アンダーテイカーのところへ帰りたい。)


ふとそんなことを思ってしまった。


「…いただきます。」


小さな声でそう呟き、タルトを食べ始めた。


「!…美味しい…!これ…凄く美味しいです…!」

「ありがとうございます。」


ニコリと微笑んだセバスチャン。


「…」


なぜかわからないけど、彼……セバスチャンは苦手だ。


「…」(早く食べて早く帰ろう…。)


タルトを食べるスピードを早めた。


「…ナツキ様。」

「!…はい。」

「…本当に、何も覚えていらっしゃらないのですね。」

「え…?」

「…失礼いたしました。」

「…セバスチャンさんも、前の私の方が…良かったんですか?」

「…えぇ…。」


するとセバスチャンは、目を細め、そう言った。私はフォークを置いた。


「…ただ…。」

「!…」


フォークを置くのを待っていたかのように、手を持ち上げ、手の甲にキスをした。


「私は、あなたの記憶が何度消されようと、必ず、私に依存させてみせます。」

「っ…。」

「私だけあなたに溺愛しているようでは、悔しいですからね。」


そう言い、またニコリと微笑んだ。



彼が苦手な理由がわかった。


私は彼が怖いのだ。


彼に依存してしまうことが。
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