第2章 なんで俺なんだ
俺の隣のクラスに、気になるやつがいる。
真紅。色素が薄い、壊れそうなやつ。妹の椿に言わせれば、「ハイパーウルトラスーパーミラクル」美形。確かにそうだ。いつぞやに見た、ドールに似ている。
俺はいつもそいつを見る度に、喉の辺りがヒリヒリする。
「燕くん、おはようっ!」
「おう」
なぜだろうか、その真紅は俺と廊下ですれ違う度に声をかけてくる。俺たち何の接点もないだろ……。美形でモデルもやってる有名人の真紅の名前を俺が知っているのはまだ分かるが、こんなごく普通の俺の名前をあいつはどこで知ったのか。
ヒリヒリ。
なんで俺に興味を持ったのか気になるところだが、目立つやつとはつるみたくないし、第一半径2メートル以内にあいつがいると喉がヒリヒリするから、こちらから訊きたくない。
どうにか向こうから離れてくれないだろうか。