第6章 初めては君がいい
「なっ、血を吸うって……」
「僕は──純血の吸血鬼は、大人になるまでに誰かの血を吸わないと死んじゃうんだ」
燕くんは、少し考えて言った。
「血を吸われるのって、痛くないのか?」
「吸血鬼の唾には、麻酔みたいな成分が含まれてるって父上が言ってた。多分、痛くないんじゃないかな。僕はまだ血を吸ったことがないからわからないけど……」
「とにかく、俺の血を飲めば真紅は生きていける訳か。」
僕はこくんと頷く。
「分かった、俺の血をやるよ。──ただし、その代わりにお前の血をくれ」
僕の血……?
「元々血を吸うことに興味があったし、俺が吸血鬼だって知ってるやつなら血を吸わせてくれって言っても驚かれない。だから、お前の血が吸いたい。」
「わかった。」