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兄が学校で二番目のイケメンです

第1章 ※私は人間です


 私が生まれたときから聞かされていること。
「椿、あんたも人間ねぇ」
 私が人間なのは正解だ。なら何故わざわざこのようなことを言うのか。


 家族内に人間「じゃない」人がいるからだ。
 父と兄。2人は吸血鬼。

 別に吸血鬼だからと言って血を吸わないと生きていけない訳ではないらしい。父も兄も人間と吸血鬼の混血で、たまたま吸血鬼としての特性が現れただけで、完全なる吸血鬼ではない。
 あまり知られていないが、この世には吸血鬼がいる。それも、結構な数が。しかし、日本にいる吸血鬼──といっても全員混血だが──は、うちの一門だけ。そりゃまぁ、知る人は少ない。

 吸血鬼には基本4つの特性がある。

 1、血を吸う
 うちは誰も血を吸っていないようだ。父が若い頃に関しては知らないが、兄はことあるごとに「人生で1回は血を吸ってみたい」と言っているので、吸ったことはないだろう。2人を見ている限り、吸血鬼(混血だけかもしれないが)は、血を吸わずとも生きていけるらしい。

 2、夜目がきく
 これは父と兄2人とも当てはまる。お化け屋敷なんて全然楽しめないし、父は光に弱いのかずっとサングラスをかけている。兄は「夜中に蚊が飛んでても、くっきり見えるから仕留めやすい」らしい。

 3、力が強い
 私は力が弱いから、兄に瓶の蓋をあけてもらったりする。が、3回に1回ペースで瓶が割れる。朝が弱い私を毎朝起こすのは兄の役目で、2階の私の部屋のドアをバーンと開け、私を小脇に抱えて1階のリビングへ向かう。私は無事だが、たまにドアのほうが無事じゃなくて、ドアノブが外れたりする。

 4、美形
 身内に対してこんなことを言うのもなんだが、父も兄も「ハイパーウルトラスーパー」が付きそうなレベルの美形だ。父はそれをごまかすかのように前髪を伸ばしていて、さらにサングラスをしているから分かりにくいが、兄は一目でわかる。黒髪に白い肌、切れ長のクールな目。和風なミステリアス系。でも、兄は学年で2番目だ。1番は、兄の隣のクラスの真紅っていうモデルさん。あの人は「ハイパーウルトラスーパーミラクル」美形。
 

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