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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第24章 病的ルール







私がお手洗いから戻ると彼は壁に体重を預けて腕組みしながら待っていた

広い空港のロビーで遠目からでも独特の雰囲気を漂わせる彼は人を惹き付ける魅力がある

黒いスーツ姿なんて今まで見る機会の無かった格好だが
引き締まった身体をよりスマートに見せる色は彼にしっくり来ていて見れば見るほどに魅力的な人だと思った

見惚れていた事で随分のろまに彼の元へやって来た私に彼は


「飛行船が取れたから行くよ。」


行き先も告げずにそう言った


「はい!」


とは言っても私は此の世界の事を何も知らないし
何処へ行くかなんて知らなくて良い

何処へ行くにも彼が一緒なら其れで良いと思った




大きな飛行船は巨大な球体の様な形をしていて間近で見れば更に大きい

こんな物が本当に空を飛ぶのかと不思議に思うがきっと彼も私の世界で同じ事を思っただろう……なんて考えていると

飛行船へ乗り込む掛け階段を先に数段登っていた彼が半身振り返り手を差し伸べた


ドキリと跳ねる胸を抑えながらも手を伸ばせばサングラス越しに視線が交わり


「………今度は俺が沙夜子に色々な景色を見せてあげるよ」


酷く整った顔で言った彼に私は赤面して俯く事しか出来なかった


(……………殺し文句にも程がある…………)


なんて言える筈も無く

しっかりと握られた手を眺めて幸せな高揚を風に逃がした



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