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『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。

第3章 記憶を思い出したら『緑川景光』の恋人でした。


景光くんが好きだ、だから死んで欲しくはないが…私になにが出来るの?答えは『助けられない』だ。彼がどうして死ぬことになったのか、どこで死ぬのか、何年何月何日に死ぬのか、全て分からない。ただスマホのデータを残さない為に、ライ…赤井秀一と揉み合いになって自殺した。という真実だけ。私は景光くんに伝えたことがある「お願い…どうか。足音を聞いただけで突っ走らないでね?」と…しかしあれは高校生の頃になんとなくいった言葉だったし、景光くんは首を傾げているだけだったからきっと役に立たないだろう。

「景光くんっ…」

私は今でも、貴方を愛しています。抗いたい、助けたい。でも…私は景光くんから好きだと言われたことがなかったりする。いつも私が押して押してだったから、面倒くさくなって折れてくれたという感じだったし…一度でいいから貴方に「好きだ、都」とあの優しい声で言って欲しかった。

ーーー。

数年後…私は帝丹高校の教師として働いていたりする。生徒の蘭さん、園子さんなどの女子生徒に懐かれて今を生きていた。最近一人の先生にアプローチされているのは分かっていて、しかしやはりまだ景光くんが好きだった。もうかれこれ8年程になる…諦めようと思っていても、ドラマや漫画のように私の前に現れてくれる気がしたからだ。

「都先生!おはようございます!」
「あら蘭さん園子さん…おはよう」
「おはようございます!それで先生!最近東先生にアプローチされてますけど、デートとかしないんですか?」
「ちょっと園子!」

あはは…流石は女子高生。そういう話しは広まるのが早い、そして恋愛に目を輝かせる彼女たちに若いなー…と思った自分はもうオバサンだなと思う。と言ってももう29歳だし、オバサンには間違いないなと遠い目をしてしまった。

「それで、どうなんですか?東先生ってカッコイイですし、誠実そうな感じが結構女子から人気が高いんですよ!」
「残念だけど、園子さん…私は今生徒達が恋人だから誰かと付き合うつもりはないかな?」
「ということは…仕事が恋人ってことですか?」

そういうことです。とウインクして女子高生二人に微笑む。そう当たり障りのないことを伝えておき、そろそろ授業を始めるから座ってよーと生徒に声を掛ける。素直に応じてくれる生徒は本当に可愛いと微笑ましく見つめながら、教科書を開き前を向いた。
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