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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第2章 新しい居場所-フクロウ-



「もちろん、条件つきでね。具体的に言うと、公務員か、もしくは身分証明証が出来る18歳以上の者。それと…そうそう、この近くの帝都大学の学生は申請と、簡単な面接の後に閲覧許可証を出しているよ」



「…念入りなんですね」



「稀モノのことだけではなく、かなり高価な資料もあるからね。そこは致し方ない。とまぁ、ここの紹介はこんなものかな。そうだ、あと立花さんの身分証明証なんだけど」



そう言って猿子さんはポケットから
紺色の手帳を取り出した。



「これ、作るのに結構時間かかるんだ。だからまだ出来上がってなくて。後日改めてここに受け取りに来てくれる?」



「はい、分かりました」



「慣れるまで色々大変だろうし、慣れてからも大変だろうけど、困ったことがあったら栞や僕に相談しなさい。新米フクロウを、心の底から歓迎するよ」



猿子さんが手を差し出す。



「……………」



その手を取るのを一瞬躊躇してしまう。



「…有難うございます」



私はぎこちない笑みを浮かべて、その手を握り返した。



✤ ✤ ✤


「猿子、いい奴だったろ?」



「はい。最初は驚きましたが…」



一通り館内を案内してもらった後、私は朱鷺宮さんと共にまた地下通路に入る。



「ちなみに、私でさえ奴の素顔を見たことはない」



「…………」



「穏やかだし真面目だし、私がこんな性格だから猿子みたいなのが向こうの頭で丁度いいんだ。お嬢さんは明日から基本的に外歩きだし、余り向こうに顔を出す用事はなくなるけど、また新人が入ったって喜んでたし、時間のある時にでも茶を飲みに寄ってやって」



「そうします」



「向こうに戻ったら、次はアパートのホールや風呂なんかを案内するよ」



✤ ✤ ✤


「まずはここが台所兼、休憩ホール。あそこで自由に料理しても構わない」



「ここが…」



先程までの作戦室や研究室とは違い、こちらは完全に生活のための場、という感じだ。



奥には冷蔵庫や広めの炊事場があり、毎日の朝食作りには充分そうだ。



「ちなみに料理は?」



「人並みには作れます」



「そうなのか!」



「料理教室にも通ってた事があるんですよ」



"元の世界でだけど"と心の中で呟く。



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