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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第2章 新しい居場所-フクロウ-



「この前は説明を省いたが、フクロウはね、実は二つの部署で成り立っているんだ」



「二つの部署?」



「私達が所属しているのが『探索部』と呼ばれる所謂外回りが担当で、実際に稀モノを探して見つける係」



「はい」



「もう片方が『研究部』と呼ばれていて、見つかった稀モノを調べたり、内容によっては書き起こして、閲覧用の資料にしたりする」



「書き起す?」



「稀モノのままだと、うっかり図書館にも置けないだろう?稀モノそのものの現象を消す方法は、少なくとも現在まだ確認されていない」



「……………」



「ただ、鏡に映してなら影響を受けずにその文字を読むことが出来るんだ」



「そうなんですね…」



「でもまぁ、確実に安全だって保証もない。だからこのやり方は外部には秘匿としてある」



「誤って見てしまう可能性だって充分あるでしょうし、それで正解だと思います」



石造りの通路は照明こそずっと灯されているものの、湿って黴臭い。



「これから向かうのはその研究部の建物だ。多分、驚くぞ」



「心します」



「…さっきのあの作戦室はな、元は地下壕だったんだ」



「え!」



「以前は結構な広さのお屋敷だったらしいが、震災で倒壊してしまってな。政府が買い上げて住宅支援のアパートでも造るか、となった矢先に地下壕とこの通路が見つかった」



「それが何故、フクロウの皆さんのお住まいに?」



「……──平たく言うと、上に隔離されたんだ」



朱鷺宮さんは苦笑して、少し乱暴に前髪を掻き上げた。



「研究部と違って、こっちは稀モノの事件が起きたら真夜中でもすっ飛んで行かなきゃならないからな」



「…なるほど」



「まぁそれと、これから行く研究部の建物自体が、そこそこ貴重なものでな」



「(貴重…一体どんな建物なんだろう。)」



───それから、どれだけの時間が過ぎただろう。



10分のようにも、30分のようにも思える。



「そろそろ着くぞ、あの階段の上だ」



見上げると、先にはまだ比較的新しい、頑丈そうな木の扉が見えた。



「…ああ、そうだ。一つ先に言っておこう。お嬢さんは外見で人を判断する質(たち)かな」



「…?いえ、少なくとも私自身はそうではないと思っていますが…?」



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