第5章 おもての裏で【★】
「ここでやめますか?」
その言葉に、強く首を振って。濡れた瞳で見上げてきた。
「………いきますよ。
つらかったら、私にすがっていてください」
「は、い………。
ひっ………ぁあぁ………っ!」
彼の象徴が押し入ってくる。頤を反らし、ビクビクと身体を震わせた。
吸いつかれるような感触と
彼女の甘い悲鳴に、理性が吹き飛びそうになる。
「っ………、あぁ………っ!
ひああぁっ」
「あんまり力を入れないでください………!
動けないでしょう」
そう呟きながら、熱い切っ先で最奥をグリグリと押し回す。
「ああぁっ………!
それ………、それ………っ、駄目ぇ!」
身をよじって彼の下から逃れようとするが、指先を絡めるようにして封じられた。
「やああぁっ………!
ひ、ぁ………っ、あああぁああぁっ!」
「っ………!」
自身の最奥に、熱いものが注がれるのが分かる。
ビクンッ、ビクン、と身体を震わせたのち 彼女は意識を漆黒に染めた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「眠った、か………。」
さら、と彼女の髪を撫でる。
「愛していますよ、あなたを………。」
すばやく燕尾服を纏うと、部屋を出ていく。
背の向こうで、雫を伝わせる愛しい存在に気づかぬままに………。