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君色に染まりて【イケヴァン長編◆裏】

第3章 ゲーム開始


『彼女』が迷い込んでから、数日が経ったある夜。

伯爵は屋敷の住人たちを呼び出した。


「なに? あんたが俺達を呼び出すなんて珍しいよね」

悪戯な口調で、アーサーが呟く。

「本当だね、アーサー」

陽だまりに染まって笑んだのは、フィンセント。


「おいアーサー、兄さんに近づくな」

こう言ったのはテオ。


「君達を呼んだのは………、とある『ゲーム』に参加して欲しくてね」


「ゲーム?」

ジャンヌの眉がはね上がる。



「この中の誰がアズリの身と心を得るか………、競おうか。

方法は夜伽。君達に拒否権はないが、ね」



「「………!!」」

『彼ら』のおもてに、様々な感情がよぎる。

期待、恋慕。苛立ちに不快………。


「言っておくが、彼女を逃がそうなど考えないように。

その時は………、分かっているね?」

浮かべた笑みは、いつもと同じ心の見えぬもの。


ナポレオンは彼の瞳をじっと見つめて

その奥にある感情を探ろうとしていると………。



けたたましい陶器の破壊音が響き、ついで廊下を駆け抜ける靴の音がした。



「アズリ………!?」

ひらりと翻ったのは、彼女の灰の髪………。


「セバスチャン。………彼女を連れて来なさい」


「ですが、伯爵ッ………。」

セバスチャンは抗おうとするけれど。


「命令だよ、セバスチャン」


「仰せのままに………。」

彼はアズリを追って、廊下へと飛び出した。





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