第7章 時間よ、止まれ【降谷零】
「ちゅーしたい」
「……すればいいんじゃないですかねぇ、風見さんと」
ハローハロー、三徹目の公務員が通ります。正直かなりキてるけど、とうとう耳までやられたらしいよ。上司が意味不明な発言をしてきた。降谷さんのプリチーベビーフェイスも目が座ってることでめちゃめちゃ怖いことになってる。咄嗟に先輩を売ってしまったけど、当の風見さんは数十分前に気絶してるから全然セーフだ。いや、セーフだってば!!!
「ふざけるな、お前とちゅーしたいっていってるんだよ」
「ふざけてても部下にちゅーするのはおかしいですよね?降谷さんの名誉のため、一応理由だけお伺いします」
「そこにお前の唇があるからだ」
「どこの登山家だ貴様は」
キメ顔でとんでもないこと言ってるよこの人。私も相当だけど、こっちは四徹くらいいってるよ。公安の頭脳と呼ばれる男が(たった今私がそう呼ぶことにした)かなりバ………IQ3くらいのことしか喋ってないよ。常識とか倫理とか色々森に置いてきてるけど、後日記憶だけは残ってるんですよね、知ってる!
「っわ!なんかこっち来た!あ!そういえば!あの!二の腕の内側って唇の感覚と似てるらしいですよ。ここはご自分の二の腕にちゅーするっていう代替案で如何でしょうか!?今なら!私見ないフリするんで!『降谷さんがちゅーした過ぎて自分の二の腕吸ってたんですよー、うけるー!』とか!風見さんに言わないんで!!」
「却下だ。」
「いやぁあああ私とちゅーしたいって思うのは絶対、一時の気の迷いですって!言っとくけど後で後悔して死にたくなるの降谷さんですからね!!やだぁあああ!!私の二の腕吸っても美味しくないですぅうういたた!!!!」
「俺がそんなに飢えてるように見えるのか。二の腕より口がいい。」
「飢えてるよ!絶賛目が血走ってるよ!あ、おやめくださいマジで!頼みます!ゴリ様ゴリ谷様あぁああああ!!!!!」
ハローハロー、日本国民の皆様。
皆様の安全と平和を日夜お守りする仕事をしているものです。職場でゴリラが暴れ出しました。当然、仕事は終わらないどころか進みません。ああー!やだやだ私は私のことちゃんと愛してくれる人とちゅーするって決めてるんだからぁああああああ!!
時間よ!!!!止まれ!!!!!!!!
fin.