第34章 第三十三章
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「ほぎゃ!!」
大きなクッションが下敷きになってくれたおかげでHPも減る事なく底に落ちた私だが、クッションの反動ではじかれて前に転んでしまい顔から床にぶつかってしまった。
「いてててて……鼻が曲がったああぁ、ビックリしたぁ!心臓がひゅんってなったよひゅんって!」
「大丈夫ですか?」
「あ、大丈夫大丈夫!ビックリしたけど鼻擦りむいたくら………い」
てっきり四人の誰かだろうと思っていたのだが、それとは違う白くて綺麗な手が差し出されて動きが止まる。
驚いて座った姿勢から見上げると、見ず知らずの人間が立っていた。
「……ん?!え、どちら様ですか?!」
いや、館に入ってきたのは私なんだからどちら様ですかと聞くのはおかしいのかもしれない。
それだけ気が動転しているという事なんだけども。
だって目の前にいるのは顔もイケメン声もイケメンな男性だったから。
びっくりして数mは後ずさった気がする。
イケメンと言えば私が召喚するFとか言う謎の存在達もイケメンなんだけど、またジャンルの違う雰囲気だ。
「すみません、急に大きな声出しちゃって失礼な事を……」
私が数m離れた事で手を引っ込める男性は特に気にする様子もなく心配そうに私を見ている。
男性だしあまり見られると余計に緊張するんだけどなぁ。
「いいえ、お気になさらず。それより怪我はないですか?」
「大丈夫です!ご心配ありがとうございます」
服の汚れを払うように立ち上がって、周りをみると広すぎず狭すぎずといった部屋の中にいる事がわかった。
けど先に落ちたハズの皆の姿が見当たらないのが不安になってしまう。