第27章 【番外編】マツノトクエスト 第二十六話
「おい……おい!! 暴れるなって!」
「……ん……ん?!……ぷはっ……ちょ、チョロ松?!」
「こんな所で何してたんだよ、一人であのモンスターを倒そうとしてた訳? 相変わらず馬鹿な事考えるよねぇ、伝説の乙女って言ってもちょっと頭脳が足りないよね、ホント」
助けに行こうと思っていたチョロ松に逆に助けられた私。
手を離してもらってその姿を見てたまらずその名を叫ぶ。
別れてそんなに日にちは経っていないのに、随分久しぶりに感じる。
「それこっちの台詞だから! アンタこそこんな所で何してたの、攫われちゃって心配したんだよ?」
「……あ、あー……それは、ごめん。ちょっとやらなきゃいけない事があって」
罰の悪そうなチョロ松は頭をかきながら苦笑している。
部屋を見回すと大きな紙袋が床に置いてあり、チョロ松の持っていた荷物だと思うと何の躊躇もなくそれを取り上げて中に入っている丸めた大きめの紙に手を伸ばす。
「わ、おい! 待てって、それは大事な交渉道具で━━━━━━」
思い切り動揺しているチョロ松が私に向かってきているけどそんな事など気にも留めない私は丸められたものをスルスルと解き放ちそこに刻まれているモノを見ると一気に呆れ目になってしまう。
「………魔王アイドル……トトクラーケン?」
どこからどう見てもこれはトト子のポスターだ。
多分この世界のトト子の形態はクラーケンで、女王様のような恰好はしてるけど足は8本ありタコみたいになっている。
コイツ、攫われたと思いきや……さては魔王軍に一度戻ったなと思うと、心配していたコチラも沸々と怒りが出てきてポスターを持つ手が小刻みに震えてしまう。
「これは、どぉいう事かなぁ? ちょろまぁつ……貴様! 裏切ったな!?」
「あ~……あはははは、えっと……サーセンっしたあああぁ!」
床にもいっぱいトト子のグッズが落ちていて、その中に魚のモンスターをしたトト子のぬいぐるみまである。
「お前こそっ、ここにナニしに来たんじゃボケエェエエエ!!」
━━━━━━━━━━スパアアアアァン
「ア━━━━━━━━━━ッ!!」