第2章 ***
「これ、待たせちゃったお侘び」
「…え?」
はい、と手渡された大きめの紙袋。
中には横幅50㎝程の、綺麗に包装された箱が入っている。
「何ですか、これ?」
「いいから開けてみて」
「……、」
そう促されるままラッピングを解き、箱を開けると…
「こ、これ…!」
中から出てきたのは、以前私が欲しいと口にしたミニボストン。
けれど自分のお給料ではなかなか手が出せない代物なので半ば諦めていたのだが。
「前に欲しいって言ってたよね?」
「っ…」
言った…言ったけど、あんなちょっとした会話を覚えてくれてたなんて…
「で、でもこれ…今日本ではなかなか手に入らないバッグで…それに値段だってすごく高いですし……誕生日でもないのに、こんな高価な物頂く訳には…」
「今日待たせちゃったお侘びだって言ったでしょ?それに結月ちゃんになら絶対似合うと思ってプレゼントしたんだ。…あ、せっかくだから今持って見せてよ」
「……、」
恐る恐る箱の中からバッグを取り出す。
上品な革素材なだけあって普段使っているバッグより少し重く感じるが、色味も手に馴染むその感触もとても素晴らしい。
(ホ、ホントにいいのかな…こんな素敵な物貰っちゃって……)
「うん、いいね。やっぱり結月ちゃんによく似合ってる」
「あ、あのっ…ホントにありがとうございます!私、一生大事にしますから!」
「ハハハッ、結月ちゃんは大げさだなぁ。でもそういうところも可愛くて僕は好きだけど」
「っ…」
さらっとそんな事を言われ顔が熱くなった。
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