第5章 子守唄
家に帰り、いつものように食事の用意をする。
最近は翔とふたりで用意するようになったから、時間も短時間で用意出きるようになった。
食事のあとは当番制で食器を洗い
その間に、もう一人が風呂に入るというルールも出来た。
今日は翔が食器を片付ける当番。
俺が風呂から上がると、翔が入れ違いに入っていく。
冷蔵庫からビールを取り出し、乾いた喉を潤した。
少し残ってるビールを片手に、もう片方の手にスマホを持つとソファに座った。
ニノに言われたように『星に願いを』の歌詞検索をする。
この歌を歌って、本当に翔が喜ぶかはわからないが
久しぶりにあの曲を聴いて、自分でも歌詞を思い出したくなった。
見つかった歌詞を読んで、今更ながらその歌詞の意味を理解した。
へぇ、少し切ない歌詞だったんだな…
子供の頃の俺は、歌詞の意味なんて全くわからず歌ってた。
母ちゃんの優しい声を思い出しながら、歌詞を見て口ずさむ…
「~♪」
歌い終わり背後に気配を感じ、振り返ると風呂から上がった翔が立っていた。
「まったく、お前は…何度言ってもその癖は直らないんだな…」
俺は苦笑いすると、スマホを起きソファから立ち上がった。
翔の前まで行くと、手を引いてソファに連れ帰る。
翔を座らせ俺も隣に座った。
「泣くときは、ひとりで静かに泣くな…
俺が傍にいるんだから、もっと甘えろよ」
「だ、て…智の歌、聴いてたら…
勝手に、涙が溢れてた…」
「そっか、ごめんな?俺が泣かせたのか…」
「ねぇ…もっと聴かせて…智の歌」