• テキストサイズ

きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第2章 幻想曲


「そんなこと気にするな。
ほらもう遅いし、慣れない仕事で疲れてるだろ?
もう寝るぞ」

「…はい」

俺は布団に横になると翔に背中を向けた。
翔は立ち上がり電気を消すと俺と同じように、俺に背中を向けて布団に入った。

やっぱり疲れてたんだろうな…
すぐに翔の寝息が聞こえてきた。

その寝息を聞きながら俺も眠りに落ちていく。



翌朝、背中に温もりを感じ目が覚めた。

そっと、首だけ後ろを振り返ると俺の背中にぴったりとくっつくように翔が寝ていた。

昨夜は暗闇で背中合わせで寝ていたから、見ることがなかった翔の寝顔。

可愛い寝顔してるよなぁ…
そりゃそうか、まだ二十歳になったばっかだもんな。

「んっ…」

小さなうめき声と共に、ゆっくりと開かれる翔の瞼。

ボーっとした視線が俺を捉えると、驚いた顔をして勢い良く起き上がった。

「おはよ」

「おっ、おはようございますっ」

「そんな慌てて起きなくてもよくね?」

俺も体を起こし布団の上に座った。

「あ、すみません…智を泊めたの忘れてて」

「ははっ!それじゃあ吃驚するわな。
目覚めたら一緒の布団に寝てる奴がいるんだから」

「はい…初めてだったんで…」

「何が?」

「他人と一緒の布団で眠るのが」

「潤さんは?」

「潤とは一緒に朝を迎えたことはありません。
潤に抱かれるときはホテルでしたけど
行為が終った後は、潤は家に帰るんで俺だけ泊まってました」

「翔だけ?」

「ええ、疲れてるから泊まって、朝帰れって、潤が…」

「そうなんだ…」

なんだかやっぱり潤さんの愛って違くないか?
普通、愛しあったあとって、一緒に居たいと思うもんなんじゃないのか?

ひとりだけ残して帰るなんて…
そんなんじゃ、翔が身体を売ってるって思っても仕方がないのかも。
/ 243ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp