第3章 雇い主
─テレビ局前─
っ…はぁ…っ…。
…まだ声は出ない。
でも…待たせるわけにはいかねぇんだ!
あの後壮五さんと別れて本来の待ち合わせ場所であるテレビ局へと全力疾走している途中だ。
屋根伝いに方向を確かめながら隠れられそうな路地を見つけると人が居ないのを確認して駆け込む。
路地に駆け込むと呼吸を整えながら人の姿へと姿を変え、耳や尻尾が出ていないのを確認するとスマホを取り出しとある人物へラビチャを送る。
すると秒で返事が返って来た。
「受付の人に伝えてあるから入っておいで。」
“分かりました。すぐに伺います。”
そう入力し送信すると受付へと急ぐ。
─テレビ局・受付─
テレビ局に着き自動ドアをくぐると受付の1人が俺に気付いて声をかける。
受「星咲 朔哉様ですか?」
声が出ない変わりに小さく頷く。
受「今お呼びしますので少々お待ち下さい。」
そう言うと内線で相手を呼んでいるのか対応する受付の人を見ながら言われるがままに大人しく待つ事数分。
ラビチャが鳴るとスマホを取り出し確認する。
するとその様子を見ていた人物が俺の傍へとやって来た。