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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第8章 【心ここにあらず】


「ドーラーコーちゃん、初日からヘマして怪我をしたって言うのは本当かな~?」

 カーテンを開けると、そこにはドラコの腰ぎんちゃくのグラップとゴイルが立っており、ベッドの傍にはドラコに片思いを寄せているパンジー・パーキンソンが、まるでこの世の終わりの様に大泣きをしていた。パンジーはクリスの姿を見ると、鼻と鼻がくっつくほど近づいて来て、ボロボロ涙を流しながら大声でわめきたてた。

「貴女いったい何しに来たのよ!!ドラコは大けがをして運ばれてきたのよ!?それをさも嬉しそうに!大体あんな野蛮人が教鞭をとっているのがおかしいのよ!校長先生も気がふれているとしか思えないわ!!」
「ちょっと待った、話を聞くとドラコに落ち度があったらしいじゃないか。それなのに先生方を責めるのは間違ってるだろう」
「いいや、パンジーの言う通りだ!僕にこんな怪我をさせて……今に見てろ、父上に言ってあんな奴ら全員首にしてやる!」
「全く穏やかじゃないなあ――ところでドラコ、お前怪我して運ばれるとき、『父上~、父上~』って言いながら泣いていたって本当か?」

 ニヤけながら質問するクリスに、ドラコは真っ赤になって口を鯉の様にパクパクさせた。言葉が出てこない所を見るとどうやら図星らしい。

「やっぱりな、全く情けないったらありゃしないな」
「クリス!貴女それでも一応ドラコの許婚なの!?少しは心配するそぶりでも見せたらどうなの!?」
「ああ、その件か。それはもう、今年いっぱいで終わりだ。ドラコなんてお前にリボンをつけてプレゼントしてやるよ。――私は今、新しい恋に夢中なんだ!!」

 再び頭の中にお花畑が広がり始めたクリスに、怪我の痛みも忘れて、慌ててドラコが飛び起きた。

「ちょっと待て!!クリス、君は正気なのか?本気であのボロぞうきんに気があるのか!?」
「もちろん本気だとも。これでお前と腐れ縁も終わりだな。まあ幼馴染代表として結婚式くらいには呼んでやるよ」

 光さすチャペルの中で、永遠の愛を誓いあうルーピンと自分を想像して、赤くなって両手で顔を隠し悶えるクリスに、流石のドラコもパンジーもぽかんとしていた。数秒経ってからパンジーはハッと我に返ると、クリスの手を力いっぱいぎゅっと握った。
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