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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第32章 【幕引き】


「しかしハリー、もしもピーターが変身したら――やはり殺す。良いね?」

 ハリーは何も言わず、ただ力強く頷いた。――これで全てが終わった。まだ完全に緊張感が無くなったとは言えないが、クリス達の間になんとも言えない充足感が漂う。

「すまないが、私はマダム・ポンフリーほど上手く治療出来ない。だが医務室まで固定しておいた方が良いだろう――フェルーラ!」

 ルーピン先生がロンの傍に寄り呪文を唱えると、ロンの足が包帯で固定さた。ロンが試しに体重をかけてみると、痛みはないようだった。それからルーピン先生はクリスの方へやって来た。

「全く、セブルスも生徒を攻撃するなんて酷い事をするな――。クリス、立てるかい?」
「は、ははははははいっ!!」

 ルーピン先生に肩を借り、クリスは喜びで体に羽根が生えたようだった。嫌と言うほど壁に打ち付けた背中と後頭部の痛みもどこかへ消え去っていた。

「あの……スネイプ先生はどうしますか?」
「命に別状はなさそうだ。大丈夫、気を失っているだけだよ」

 ルーピン先生は朗らかに笑った。頭から血を流しているのに、この明るさは何だろう……。ルーピン先生は杖をスネイプに向けると「モビリコーパス!」と唱えた。するとスネイプの体に見えない糸の様なものがくくりつけられ、まるで操り人形の様に宙に浮いた。それから透明マントを拾い、丁寧に畳むとハリーに手渡した。

「誰か2人、こいつを繋いでおかないといけないな」

 ブラックが触るのも嫌そうに、つま先でピーターを蹴とばした。するとルーピン先生と同時に、ロンがびっこを引きながら前に進み出た。
 ブラックが空中から重い手錠を取り出すと、それをピーター両手にはめ、右をルーピン先生が、左をロンが繋いだ。ロンは真剣な顔で、まるで知らなかったと言えどスキャバーズの見方をしていた事に罪の意識を感じている様だった。

「それじゃあ、出発だ」

 ブラックがそう言うと、それまでピーターを見張っていたクルックシャンクスがひらりと前におどり出て、ブラシの様な尻尾をピンと立てると「先陣は任せろ」と言わんばかりに、先頭に立って部屋を出た。
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