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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第26章 【クィディッチ優勝杯】


 そんな熱狂の中、クリスはただ1人ハリーだけを見つめていた。クリスが応援しているのは、ハリーただ1人、その他は悪いがおまけ程度にしか思っていない。

 試合は50対10。と言う事は、後10点取ったらハリーの出番だ。クディッチ杯を取るには50点以上を獲得してからだとウッドが言っていた。あと10点……その時、スリザリンのビーダーがウッドにブラッジャーをお見舞いした。2つのブラッジャーはウッドの腹に命中し、ウッドは前のめりになったが、辛うじて箒から落ちる様な事は無かった。途端にグリフィンドールからブーイングが飛んだ。

「クアッフルがゴール区域に入っていないのに、キーパーを襲うとは何ですか!!」

 フーチ先生がカンカンになって叫び、ペナルティーを取った。この得点が入れば60対10点で、50点差になる――つまり、ハリーの出番だ!

「確実に入れろッ!アンジェリーナ!!」

 柄にもなく、クリスが叫んだ。アンジェリーナは真剣な表情でクアッフルを手にすると、それをゴールに向かって投げた――クアッフルは見事キーパーをすり抜けゴールポストをくぐった。途端にグリフィンドールの応援席から熱狂的な歓声が上がった。アンジェリーナはクルリと回ってガッツポーズを決めた。

「流石、見た目だけじゃないぜアンジェリーナ!出来れば今度デートしてもらいたいくらいだ!!……ああ、冗談ですよ先生――さて、試合は60対10で相変わらずグリフィンドールのリード!おおっと、そして飛び出すは、グリフィンドールの名コンビ、フレッドとジョージ・ウィーズリーだ!!」

 フレッドとジョージがナイスチームプレイでワリントン目がけてブラッジャーを叩きつけ、ワリントンがクアッフルを取り落した。その隙にケイティがクアッフルを拾い上げ、ゴールを決めた。これで点差は60点リードしている事になる。
 これを守り切り、ハリーがスニッチを掴めば優勝杯はグリフィンドールのものだ。もしドラコがスニッチを取れば――あの威張りくさった態度にさらに拍車がかかると思うと、なんとしてもハリーにスニッチを取って欲しかった。

「ハリー!これでスニッチを取らなかったら、今度は私がその箒をバラバラにしてやるぞー!!」
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