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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第24章 【ハーマイオニーの変貌】


 ハーマイオニーはそれ以上何か言いたそうだったが、その時、教室の奥の暗がりから例のごとくトレローニー先生がスーッと現れたので、言葉を打ち切った。

「皆様、ごきげんよう」

 この学科にのめり込んでいるパーバティとラベンダーがため息を漏らした。テーブルの上には乳白色の靄がかかった水晶玉が置かれており、これからこの水晶玉を使って、どんな不吉な占いをやらされるのかと思うと、今からうんざりした。

「あたくし、計画よりも少し早めに水晶玉をお教えするよう啓示が下りて来ましたの。6月の試験は玉に関するものだと、運命があたくしに教えて下さいましたのよ」
「あーら、不思議な予言ですこと。誰が試験を出すんでしょうね?あの人自身だと言うのに!なんて馬鹿馬鹿しい予言なんでしょう!!」

 ハーマイオニーは鼻息荒く、声も落とさず堂々と言った。しかしトレローニー先生もトレローニー先生で、まるで聞こえなかったように話しを続けた。

「水晶玉はとても高度な占いですの。ですから皆さんに沢山練習する時間を差し上げたくて……初めから水晶玉で予言が見えるとはあたくしも期待しておりません。まずは皆さん、リラックスして外なる眼を閉じ、内なる心の眼で球を見透かす事に集中して下さい」

 そんな事言われても、この状況下でどう集中して良いのか。ロンとハリーは絶えずクスクス笑っていたし、ハーマイオニーは何度も舌打ちして「こんな下らない事に時間を割くくらいなら、『元気の出る呪文』を練習できるのに」とこぼしていた。クリスは一応言われた通りリラックスして水晶玉に手をかざしてみたが、靄のかかった水晶玉には何の変化も無かった。

「何か分かった?」
「そうだな、言えることは1つ。私には占いの才能が無いって事かな」
「そもそも、こんな不確定要素だらけの学科事態問題があるのよ!」

 ハリーの質問にクリスが答えると、ハーマイオニーは怒って教室中に聞こえるくらい大きな声を出した。その時、衣擦れの音と共にトレローニー先生が4人のテーブルの近くまでやって来た。そしてハリーの真後ろに立った時、次に言う言葉はもう決まっていると4人は確信した。
 トレローニー先生は、ハリーの水晶玉を見て大げさに「ああぁぁ!」と声を上げた。ハリーがうんざりした顔をした。

「ここに!ここに何か映っていますわ!皆さん、良くご覧になって!!」
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