• テキストサイズ

ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第23章 【胸の棘】


 これは絶対にハリーの仕業だ。しかし透明マントを被っている今、その証拠はどこにも無い。グラップとゴイルも一緒になって、馬鹿みたいに泥が飛んできた方をキョロキョロと見回している。その様子を見て、クリスとロンは必死に笑いそうになるのを堪えていた。

「どうやら、屋敷を馬鹿にしたのが運の尽きだったみたいだな?」
「そ、そんな馬鹿な事あるはずないだろう!」
「本当にそうかな?この屋敷は呪われているんだぜ?」

 ロンの言葉に合わせ、もう一発ベチャッと、今度はドラコの顔面に泥が飛んできた。ドラコは呆然と立ちつくし、グラップとゴイルは『叫びの屋敷』に向かって必死に謝っている。ご自慢の筋肉も、呪いの前では役に立たないと悟ったらしい。
 そんな2人に向かって、ハリーはまたも泥を投げつけた。今度も命中、2人は泥が飛んできた方から手探りで空を引っ掻いた。それを見てロンは腹を抱えて笑っていた。しかし次の瞬間、その笑い顔が消える事になる。

 手探りで正体を探すグラップとゴイル達に、ハリーが足を引っかけて転ばせた、その瞬間――グラップのデカい足が透明マントを踏みつけ、ずるっとマントが滑り落ちた。

「ぎゃあああああああぁぁぁぁっっっ!!!!」

 ハリーの生首を指さし、ドラコは一目散に逃げだした。その後ろをグラップとゴイルが続く。ハリーは急いでマントを被り直したが、後の祭りだった。ロンはハリーの居る辺りに向かって叫んだ。

「ハリー!今すぐ城に戻った方が良い!!もしも誰かに――スネイプなんかに告げ口されたら、君、いっかんの終わりだぜ!?」
「分かった!」

 それだけを言うと、近くで足音が聞こえ、そして遠くへ去って行った。不味い事態が起こった。スネイプならまだ良い、もしダンブルドアの耳に入ったら、ハリーが透明マントを使ってホグズミードに行った事がばれてしまう。それにポケットいっぱいに詰まったお菓子や悪戯グッズの数々が動かぬ証拠になる。

「私達も城へ戻ろう、急いだ方が良い!」
「分かった、僕はスネイプの所へ行くから、君はダンブルドアの所へ行ってくれ!」

 2人でホグズミード村へ駆け足で坂を下りていった。しかし、ここでクリスの運動不足と足の遅さが如実に現れた。ロンはどんどん先へ進んでいくのに、クリスの足は思う様に進んでくれない。
/ 331ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp