• テキストサイズ

ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第22章 【愚か者】


 それからと言うもの、ロンはクリスと同じく頑なにハーマイオニーと一緒にいる事を拒んだ。ハーマイオニーも同じくロンとクリスには近づかないようにした。
 ロンはクルックシャンクスが何度もスキャバーズを食べようとしているのを知っていたのに、どうしてあんな猫を野放しにしておいたのかと激怒していたし、ハーマイオニーはハーマイオニーで、クルックシャンクスがスキャバーズを食べてしまった決定的な証拠がないと言ってロンの主張を突っぱねた。猫の毛は、クリスマスからそこにあったのではないかと言って、ロンの機嫌をますます悪くさせていた。

 本当の意味で、頭を悩ませたのはハリーだった。少なくともファイアボルトが戻ってきたので、これでクリスは取りあえず置いといて、3人のよりは取り戻せたと思っていた矢先だったので、この事件は全く予想外の出来事だった。それに、ハリーも状況証拠からクルックシャンクスがスキャバーズを食べてしまったんじゃないかと言うと、ハーマイオニーはハリーにまで当たり散らした。

「どうせそう言うと思ったわ、分かったわよ、ロンに味方しなさい!私のことなんて気にせず放っておけばっ!?」

 テーブルに広げた宿題を無理矢理カバンの中に突っ込むと、目に涙を溜めながら、ハーマイオニーは女子寮への階段を駆けあがって行った。一部始終を見ていたクリスは頭が痛くなってきた。
 正直、ハーマイオニーがここまで身勝手な人間だとは思っていなかった。例えルーピン先生の事で知ったかぶりを発揮しても、本当は友達の事を考えられる人間だと思いたかった。しかし我が身可愛さに、この期に及んでまだクルックシャンクスの事を擁護するとは思えなかった。

 ペットを失い、ロンは悲しみに打ちのめされていた。その気持ちはお互いペットを持つ身であるハリーもクリスも分かった。もしもネサラがクルックシャンクスの爪に引き裂かれたら……そう思うだけで心の奥が暗くなる様な気がした。

 ロンを励まそうと、ウィーズリー兄妹が集まってきた。ジョージは明るくこう言った。

「気にするなよロン、あいつは最近弱って来ていたし、長い間苦しむよりパクッと一発で逝った方が良かったんだ」
「ジョージ!なんて事言うの!?」
/ 331ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp