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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第19章 【お節介焼きのハーマイオニー】


「――勿論です」

 クリスはそれを聞いて、一気に気分が萎えてふにゃふにゃと席に座った。ハリーもロンも「元気出して」と言ったが、折角のクリスマスなのに、病気で食事にも出てこられないほど苦しんでいるだなんて……先生の身を思うと、クリスはガクンと食欲が失せた。こんな時、目の前で七面鳥を頬張れるロンが羨ましかった。
 クリスはスープだけをちびちびと口に運んでいたが、居ても立っても居られなくなり、席を立った。その瞬間、トレローニー先生が悲痛な叫び声を上げた。

「貴女!今席を立った貴女には、これから思いもよらない不幸が訪れますわよ!!最悪……命を落とすことになりましょう!!」
「そんな訳ありません!」

 マクゴナガル先生が、まるで雷の様にピシャリと言った。例え授業中に生徒が遊んでいようと、ここまで厳しくないだろうと言う声だった。

「シビル、あまり余計な事を言って生徒を怖がらせないように。勿論、大広間の扉の陰に斧を持った大男が待ち構えていて襲い掛かって来ると言うのなら別ですが」

 クリスはそれを聞いて、少しだけ笑った。だがクリスの心を本当に癒してはくれなかった。今はルーピン先生の事しか頭にない。クリスは女子寮に戻り、この日の為に作ったマフラーとカードを持って談話室を出ると、『忍びの地図』を見て覚えたルーピン先生の部屋まで行った。そして扉の前で悩むこと数10分。クリスは意を決して扉を叩いた。

「ルーピン先生、クリス・グレインです。いらっしゃいますか?」

 しかし、返事は無かった。もしかしたら薬を飲んで寝ているのだろうか。それとも――クリスは嫌な妄想をかき消し、せめてカードだけでもと思い、扉の隙間に手作りのカードを挟むと談話室へと引き返した。落ちこむクリスを尻目に、ハリーとロンは、送られてきたファイアボルトをうっとりと眺めていた。クリスも少しでも元気を出そうと、ラジオの取扱説明書を読みだした。
 それから10分位経っただろうか、ハーマイオニーが、後ろにマクゴナガル先生を連れて談話室に入って来た。寮監でもあるマクゴナガル先生が談話室に入ってくる時は、大抵悪い知らせを持ってくる時だ。いったい何だろうと、3人は緊張してマクゴナガル先生を見た。
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