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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第17章 【優しい手】


「大変よ!早く追いかけなくちゃ!!下手したら一生あの姿のままよ!」
「そっそうだ!!え、えええとどこ行ったんだ!?」
「戻ってくるんだ!クリスッ!!」

 ドラコがクリスを追いかけて廊下の向こうへと消えると、何を思ったのかハリーはクリスが消えた方向とは逆に向かって走り出した。

「ハリー!?なにやってるの!」
「寮に戻って『忍びの地図』を持ってくる!あれがあればどこに居ようと直ぐに分かる」
「ナイスアイディア!!」

 ロンがパチンと指を鳴らした。3人は駆け足でグリフィンドール寮へと戻ると、急いで『忍びの地図』を広げた。クリスが消えた地点から、どこに行ったのかクリスの名前を探す。するとそう遠くない部屋に、小さくクリスの名前を発見した。

「見つけた!良かった、これで一安し……ん?」

 途端に3人の顔が青くなる。クリスが向かった場所、それは――あろうことかスネイプの研究室だった。

* * *

「……先ず材料からして違う。ロングボトムの頭にはおが屑でも詰まっているのか……」

 スネイプは、ネビルが作った「縮み薬」を分析し、それに合わせた解毒剤を作っていた。長年『魔法薬学』の教師を務めてきたが、ネビルほど出来の悪い生徒は見たことがなかった。スリザリンにもクラップとゴイルと言うトロール並みの知性の生徒がいるが、それでもネビルよりはマシと言えよう。
 ぶつぶつ文句を言いながら分析、調合をしていると不意に扉が開いたような気配がした。反射的に振り返るが、誰もいない。気のせいかと思って再び調合に戻ろうとした時、小さいが何者かが息を吐いたのがはっきり聞こえた。

「そこに居るのは誰だ!!」
「うわあぁっ!!」

 スネイプが部屋の隅に向かって杖を振り上げると、子供独特の甲高い声が聞こえた。まさかホグワーツに子供が?と思ったが、つい先ほど子供の姿に戻ってしまったクリスの事がスネイプの頭をよぎった。

「もしかして……ミス・グレインか?」

 部屋の隅にある本棚の陰から、小さい子供がソロソロと出てきた。黒い髪、白い肌、赤い瞳、まるで人形のような端正な顔立ち。間違いない、先ほどネビル・ロングボトムの失敗作で縮んでしまったクリス・グレインだ。スネイプが見下ろすと、クリスは恐る恐る口を開いた。
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