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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第16章 【隠されていた真実】


 それでもロンはめげずに、ちょっと赤い顔で「皆の分を買ってくるよ」と言うと、ふらふらカウンターに向かって行った。
 何か言いたそうなハーマイオニーを引っ張り、クリス達は角の席に座って待っていた。それから数分後、4人分のジョッキを抱えてロンが戻って来ると、4人は「メリー・クリスマス!!」と言ってジョッキを仰いだ。

 体の芯から温まり、それぞれ「プハー!」と息を吐いた。これぞホグズミードの醍醐味!しかしその幸せな瞬間は、すぐに潰えた。なんとマクゴナガル先生、フリットウィック先生、ハグリッド、が『三本の箒』に入って来たのだ。しかもそれだけでは無い、その後ろから魔法省大臣のコーネリアス・ファッジまで現れたではないか!3人はとっさにハリーの頭を掴むと一気にテーブルの下に押し込んだ。

「イテッ!」
「しっ!静かに!……モビリアーブス」

 ハーマイオニーが呪文を唱えると、4人が座っているテーブルを隠すように、傍にあったクリスマス・ツリーが10センチくらい浮いてテーブルを隠す様に移動した。4人は息を殺していつハリーを連れて店を出ればいいか思案した。

「ギリーウォーターのシングルです」
「私です」

 この厳格な声は、マクゴナガル先生のものだ。

「ホットハチミツ酒、4ジョッキ分」
「ほい、ロスメルタ」

 今度聞えてきたのはハグリッドの声だった。この声は間違えようがない。 

「アイスさくらんぼシロップソーダ。唐傘飾り付きは――」
「わしじゃ!」

 フリットウィック先生独特のキンキン声が聞こえてきた。

「それじゃあ大臣が、赤い実のラム酒ですね?」
「ありがとう、ロスメルタのママさん。君もこっちに来て一緒にどうだい?」
「まあ、大臣にお誘い願えるなんて光栄ですわ」

 これは長くなりそうだ、と言う嫌な予感が漂ってきた。ロン、クリス、ハーマイオニーの3人はちびちびバタービールを飲みながら先生達の動向を窺っていた。

「それで大臣、どうしてこんな片田舎におこしになりましたの?」
「ほかでもない、シリウス・ブラックの件だ。奴がホグワーツに侵入したのは聞いているだろう?」

 それを聞いて、マダム・ロスメルタは紅い唇から、ふーっと細いため息を吐いた。
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