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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第14章 【Shit】


「そうよクリス!手編みのマフラーなんてどうかしら!?これからどんどん寒くなるし、それに気持ちがこもっているからプレゼントにぴったりよ!!」
「手編みのマフラーか……いいな、それ。よし!そうしよう!!」

 しかしここで問題があった。クリスは今まで手芸はおろか、雑巾さえ縫った事が無い。屋敷に仕える屋敷しもべのチャンドラーなら、マフラーと言わずセーターだって手袋だって毛糸のパンツだってなんでも編めるが、今は遠く離れており、編み方を習う事は出来ない。それに、クリスはあまり手先が器用な方ではないのは自分でも分かっている。

「でも、不格好なマフラーを送ったって喜んでもらえるかどうか……」
「大丈夫よ!私がしっかり教えてあげるわ。私もクリスマスにパパに編んであげたけど、とても喜んでくれたもの!」
「そうか……なら良し、やろう!――色は何は良いかな、やっぱり爽やかな青系が良いかな。それとも情熱的な赤色が良いかな?そうだ、早速チャンドラーに頼んで上等な毛糸と編み棒を送ってもらおう。そうと決まったら手紙だ!」

 クリスは慌てて紅茶を飲み干すと、一足先に大広間を出ていってしまった。その後姿を見ながら「女って恋するとこんなに変わるもんかね」とロンが呟いた。

 次の日、早速チャンドラーから真っ赤な毛糸と編み棒が届いた。それと一緒に、長い手紙が付いていた。初め、クリスはそれがマフラーの編み方が書いてある紙かと思った。しかしそれは予想の斜め上をいっていた。

【――お嬢さまへ――】
 お嬢さまが手芸に目覚めたという手紙を貰い、私は感動のあまり涙が止まりませんでした。昔からお嬢さまにお洋服を作ったり、手製のドレスやコート、勿論マフラーやセーターや帽子を作ってきた私にとって、お嬢さまが少しでも私の力を借りたいと言って下さり感激の極みでございます。このチャンドラー今まで生きてきてこれほど感動したことはございません。しかしお嬢さま、初めのうちは思う様に編めないかも知れませんが、そこは心を込めて編んでいけばたちまち世界に2つとない愛のこもった品が出来上が――――

 長すぎて、クリスは手紙を丸めて捨てた。どうして我が家の屋敷しもべは一言どころか二言も三言も多いんだろう。クリスは思わず頭を抱えた。
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