第24章 幸村の誕生日
こんな何でもないやり取りが、
大きな幸せだと思った。
「華月、お前が居れば、毎年楽しい誕生日だ」
「毎年、祝わせてくれる?」
「毎年、祝ってくれるのか?」
「「もっちろん」」
((楽しくて、幸せだな))
ずっとこんな誕生日になれば良いと、
2人同じことを思った。
幸せな誕生日の幸村
「あ……忘れてた……」
華月と別れて、独り夕暮れ帰り道。
市で買ったもう一つの物。
(まっ、いっか……次会った時の贈り物にすれば……)
幸村は贈り物を受け取った時の華月の顔を想像しながら、
嬉しそうに、手の中の、渡しそびれた、花模様のつげ櫛を眺めた。
(今度、梳いてやるんだ。
なにがあっても生きて帰るからな)
幸せな帰り道。
ー了ー