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▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)

第9章 ▲大人ノ玩具箱▽ ー明智光秀ー



目を逸らすことなく見つめていた光秀のその耳に、鈴が鳴るような音が響く。

それは、蝶が舞うに合わせて、リンリンと。





 ―― 甘イ 蜜ヲ アゲマショウ…





「…ほう」



光秀が、ニヤリとその唇を歪ませる。

「今のは、お前か?」

長い指を、蝶へと差し出す。
蝶は花へと舞い降りるように、光秀の指に止まり、羽を休めた。
指には何も感触はない。
まるで何もいないかのように。



鈴が鳴る。





 ―― 甘イ 蜜ヲ アゲマショウ…





「俺を誘うつもりか?そうして、お前は何を得る…」

光秀の言葉に応えるように、蝶は羽を大きく広げ、ふわりと舞い上がった。





 ―― オ代ハ アナタノ 甘イ 夢…





鈴の音が、そこで途絶えた。
同時に、蝶の姿も消え失せていた。



光秀の手に、黒い箱が残っていた。



「…これは、いつぞやの玩具箱…」

ハナが見たという文字は、今はどこにも見当たらない。
しかし、使い方は覚えている。

「箱が選んだ者だけが、開けるとかいうことだったな」

箱を傾ける。
中から、何かが転がる音がした。

「今度は俺の番ということか」

信長がしたように、箱の上面を手でなぞる。
すると、箱は音もなく静かに開いた。



中には、小さな小さな、白い毬。


取り出して、闇夜の空に翳してみた。
ふっと光秀の黄金の瞳が、自嘲に揺れた。

「なるほど、これは俺に似合いの品だ」



夜空に翳した、白い毬。

それは夜を統べる、月となり。

光を放ち。

光秀を優しく照らし出した。





<次章 ▼月華美人△ *明智光秀*>
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