• テキストサイズ

君の涙【ヒロアカ】

第5章 夢を追う覚悟



 轟くんのおかげでだいぶ回復したので、家に帰る準備をする。まだ少しだけ熱っぽさは感じるが歩けない程ではない。

 『じゃあ…本当にご迷惑をお掛けしました。お茶も奢って貰っちゃって……ありがとう、ごめんなさい』
 「別に大したことねぇよ」
 『私の気が収まらないから今度なにかお礼させて!』
 「…ああ。じゃあなんか考えとく」
 『是非!』

 その時カバンの中にしまっていた携帯が振動する。轟くんに断りを入れて携帯を取り出すと、画面には"パパ"の2文字。

 「……さっきからすげぇ鳴ってたぞ」
 『…そのようですね』

 着信履歴32件。全て同じ人からだ。それもそのはず。時計を見ると夜8時を回っていた。轟くんの家を出たあとにかけ直そう。

 『それじゃあ、本当にお邪魔しました。また来週──』

 ガラリと玄関の戸を開ける。目の前にそびえ立つ人物を見て思わず固まってしまう。メラメラと燃える炎を纏うその人物は、誰もが知る人気ヒーローだった。

 『ェ…エンデヴァー……!?』
 「……誰だ」

 いや、ちょっと待てよ。彼がここにいるということは、ここは彼の家。でも轟くんの家でもあるから、彼と轟くんの家で。つまり轟くんのお父さんってエンデヴァーってこと?

 「親父」

 確信に至る発言をした轟くん。まさかあの人気ヒーローの息子さんだったなんて。そしてその息子さんに大迷惑をかけた私。

 『あ、あのっ…同じクラスのです。轟くんには助けていただいて』
 「…?」

 私の名前に眉毛をピクリと動かして反応するエンデヴァー。なんだろう、ものすごく怖い。轟くんには申し訳ないけど、今この場から早く逃げ去りたい。

 『えっと、お邪魔しましたっ!轟くん、また学校で!じゃっ!』
 「っ、家までおく、る……」

 先程まで倒れていた人とは思えないほどのスピードでその場を走り去る。轟くんが何か言っていた気がするけど、振り返らずただただ走る。
 我武者羅に走り続け息が切れてきた頃、その場に立ち止まりあたりを見渡す。見慣れない風景。ここはどこだ。そもそも轟くんの家を知らないので、家までの帰り道もわからない。どうしようかと考えていると丁度パパから電話がかかってきて、申し訳ないけど迎えに来てもらうことになった。


/ 129ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp