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許色【ONE PIECE】

第3章 交渉※


「海軍本部に図書室がないか聞きたかったのだ」
「図書室?」

突拍子もない回答に、いつものスモーカーなら少しは疑問に思っただろう。
しかし、アルコールの回った今の頭では、その余裕はないようだ。

「…あぁ、資料室ならある。海軍の読本や武器の設計・戦術に関する資料、文学書なんかも揃っている」
スモーカーの話では、あらゆるジャンルの資料や本が集まっているように思えた。

「へぇ、あとは?」
「そんなに行ったことねェし詳しくは…」
まだ何か思い出しているような、知っていそうな顔をしたのを、見逃さなかった。

私はぐいと身体を近づけると、スモーカーの口から葉巻を奪い去った。
「この酒は、葉巻と一緒じゃない方が美味しいと思うが」
上目使いで言うと、指先でスモーカーの唇をなぞってみせる。

ここまでされて、理性を抑えられた男など見たことがない。
スモーカーは私の腰を抱え引き寄せると、首元に顔を埋めた。





「もっと思い出してくれないか?」
珍しい本に興味があるんだ、と耳元で囁いた。
スモーカーはソファに座ったまま、向き合う形で私を抱えている。

「確か…歴史的価値のある書物を保管している部屋があったはずだ」
普段は鍵がかかってて俺も入ったことはねェが、と漏らすと、首筋にキスをひとつ落とす。

頭を抱える手つきが優しくて、数日前に首を絞められた時とは大違いだ。
腰に回された太い腕は、いつの間にか服の内側を撫でていた。

首筋にいくつも痕を付けられながら、思考を巡らす。

軍事機密になるような資料を、海軍が掌握していないはずがない。
例えば、危険人物、悪魔の実、ポーネグリフ、古代兵器などについての情報だ。
龍騎士に関与する資料はほとんど見たことがなく、私は自身のことをほとんど知らない。
自分の正体を知ったその日からずっと、知りたいと思っていた。
龍騎士とは何か。
必ずどこかにあるはずだ。
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