第1章 *序章*
『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
『……。』
混奈門はゆっくりと左手を退け立ち上がった。
そして再び百合の視界には両親……だが、
両親はすでに死んでいた……。
首から血を流しながら……。
『っ……おと…さん?おかぁ、さん?
ぇ…ぇ……やぁ……』
漠然と両親の亡骸を見る百合。
『……さぁ、君はさくら村に向かうんだろう。
もうじき私の部下やアカトキ城の兵士が来る……ここは見なかったことにする。
その前にここから立ち去るんだ……』
『っ……人、殺し……』
百合は肩を震わせた。
百合にとって、残酷で、早過ぎた両親との別れ……。
涙を流しながら、百合は混奈門を見上げた。鋭い瞳を向け……
『忍者だからね。人を殺すのは普通のことだ。』
『っ……許さない!!
私は……あなたを……タソガレドキを許さないっ!絶対に!!』
両親を殺された悲しみから声を荒げる百合。
『君が我々を恨むのは勝手だが……そろそろ行かなくていいのかい?
じき、他の偵察のものがやってくる……』
『っ……』
百合の目が鋭くなる一方、混奈門は淡々としていた。
そして混奈門は再び百合を見下ろす。
『君が……』
『っ……』
『本当に私を殺したいのならば、強くなればいい。ただそれだけの話だ。
私と、戦える程度にはね……』
『っ……絶対……絶対強くなってやる……強くなって、
あなたを……タソガレドキ城を潰してやる!!!』
百合は心に誓うように叫んだ。
そして混奈門は目を細め口元が隠れている覆面から口角が上がったのがうかがえ……
『ふっ……
君が成長するのを、楽しみにしているよ……』
_怪しい笑みを浮かべていた。
『っ……』
(雑渡混奈門……私は、あなたを、タソガレドキ城を許さない……!
私の家族と、村を奪ったあなた達を……)
混奈門は『ふっ』と笑うと、あっという間にその場から消えてしまった……。
そして一人残された百合、
百合は踵を翻し、さくら村がある方角へ向かって走り出すのだった……。
_これが、全ての始まりだ……。